現場で三十年以上ハンマーを振るい続けてきた床職人の立場から言わせてもらえば、フローリング施工費の平米単価というのは、単なる面積の計算以上の意味を持っています。多くのお客様は、広い部屋の方が手間がかかるから単価が高くなると思われがちですが、実は逆のケースも多いのです。例えば、何もない真四角の広いフロアを一気に貼る仕事と、柱が何本もあって入り組んだ廊下やクローゼットの中を貼る仕事では、一平米あたりにかかる時間は全く違います。複雑な形状の場所では、木材をミリ単位でカットして合わせる作業が何度も発生するため、一日に進める平米数はガクンと落ちます。そのため、面積が狭いトイレや洗面所などは、一平米あたりの単価として計算すると割高に設定せざるを得ないのが職人の本音です。また、最近はDIYでフローリングを貼る方も増えていますが、我々プロの施工費には、その後の数十年を保証する責任が含まれています。木は生き物ですから、季節の湿度変化で膨らんだり縮んだりします。それを見越して、壁際にあえて数ミリの隙間を作ったり、継ぎ目の重なりを調整したりするのが職人の技です。これを怠ると、夏場に床が浮き上がったり、冬場に大きな隙間が開いたりします。平米単価の中には、こうした将来の不具合を防ぐための経験値も含まれていると考えてほしいですね。最近主流のシートフローリングは扱いやすいですが、無垢材となるとそうはいきません。一枚ごとに木目が違い、反り具合も違います。それを現場で判断しながら、最も美しく見えるように配置していく。この手間に見合う平米単価を設定しなければ、良い仕事はできません。また、リフォーム現場では下地の確認が最も重要です。古い家だと床の下の根太が腐っていることもあり、その補修をせずに上から新しい板を貼ることはできません。平米単価が極端に安い業者は、こうした見えない部分の手間を省いている可能性がある。結果的に数年で床がベコベコになってしまっては、せっかくの投資が無駄になります。お客様には、見積書の平米単価の数字だけを見るのではなく、その職人がどれだけ下地にこだわり、どれだけ丁寧に納まりを考えているかを感じ取っていただきたい。平米いくらという契約であっても、我々職人が向き合っているのは面積ではなく、そこに住む人のこれからの暮らしそのものなのです。
職人が語るフローリング施工費と平米の考え方