マンションの自室で壁や天井にひび割れを発見した時、多くの人はまず動揺し、どうすればよいか分からなくなってしまうものです。しかし、パニックになる必要はありません。落ち着いて適切な初期対応を行うことが、問題の解決に向けた最も重要な第一歩となります。では、具体的に何をすべきなのでしょうか。まず最初にやるべきことは、現状の記録です。スマートフォンのカメラなどを使い、ひび割れの全体像が分かる写真と、その幅が分かるように定規などを当てた接写の二種類を撮影しておきましょう。写真は日付が分かるように管理しておくと、後の変化を比較する際に非常に役立ちます。次に、ひび割れの幅と長さを自分で測り、メモに残しておきます。幅を測るには、クラックスケールという専門の道具が便利ですが、なければ文房具のクリアファイルや名刺の角などを差し込んでみて、どの程度の厚みのものが入るかを確認するだけでも目安になります。これらの記録は、管理会社や専門家に相談する際の客観的な資料となり、的確なアドバイスを得るために不可欠です。記録が済んだら、次にそのひび割れがマンションのどの部分に当たるのかを考えます。壁紙や塗装など、室内の表面だけに生じている軽微なものなのか、それともコンクリートの躯体そのものに達している可能性があるのか。一般的に、髪の毛ほどの細いヘアークラックであれば緊急性は低いとされています。記録作業と簡単な観察が終わったら、管理会社または管理組合の理事会に連絡を入れましょう。その際、撮影した写真や計測した記録を提示しながら、いつ頃気づいたのか、どのような状況なのかを具体的に説明します。自己判断で補修業者を呼んだり、自分で補修を試みたりする前に、まずはマンション全体の管理者である管理会社に報告し、指示を仰ぐのが正しい手順です。ひび割れの原因によっては、個人ではなく管理組合が対応すべきケースもあるからです。室内ひび割れへの対応は、発見、記録、報告という三つのステップが基本です。この手順を踏むことで、冷静かつ的確に問題に対処することができるのです。
室内ひび割れを見つけたらまずやるべき事