ある築三十年のマンションで行われたフローリング改修プロジェクトを事例に、施工費の平米単価がどのように構成されるかを詳しく見ていきましょう。この物件のオーナーは、老朽化したカーペット敷きの部屋をすべてフローリングに変更したいという希望を持っていました。マンションリフォームにおいて最大の特徴であり、コストを押し上げる要因となるのが防音規定です。このマンションでは管理規約によりL-45という遮音性能が求められており、これが施工費の平米単価に直接影響を与えました。通常の戸建て用フローリングに比べ、防音機能付きの床材は裏面にクッション材が貼られており、材料そのものが高価であるだけでなく、貼り方にも特殊なノウハウが必要となります。今回の事例では、約六十平米の面積に対し、施工費の平米単価は材料費込みで一万八千円という設定になりました。これには、古いカーペットの剥ぎ取りと処分費、そして床の不陸を調整する下地調整費が含まれています。特にカーペットからフローリングへの変更は、床の高さが変わってしまうため、ドアの裾を削るなどの大工作業が追加で発生することが多く、それが平米単価以外の諸経費として計上されることが一般的です。しかし、この現場では施工業者が工夫を凝らし、平米単価の中に軽微な調整費用を組み込むことで、オーナーにとって分かりやすい料金体系を提示しました。工事を進める中で判明したのは、築古物件特有の下地の歪みです。コンクリートの床が水平でない場合、そのままフローリングを貼ると歩くたびに音鳴りがしたり、隙間が開いたりする原因となります。平米あたりの単価には、こうしたトラブルを未然に防ぐためのレベリング作業の技術料も反映されているのです。最終的に、全室の床がフラットで美しいフローリングに生まれ変わりました。オーナーは当初、インターネットで見つけた格安の平米単価と比較して高いと感じていたようですが、完成後の仕上がりと、防音性能を証明する書類の提出まで含めた丁寧な対応に非常に満足されました。マンションリフォームでは、単に安い平米単価を追い求めるのではなく、規約を遵守し、建物の構造に適した確実な施工ができる業者を選ぶことが、資産価値を維持する上でも重要です。
築古マンションの床施工費平米単価の実例