同じ時期に同じハウスメーカーで、ほぼ同じ内容の断熱・バリアフリーリフォームを行った二つの家族の事例を比較してみると、確定申告の有無がどれほど残酷な差を生むかが浮き彫りになります。A家は、工事が終わった後の確定申告を迅速に行いました。省エネ改修とバリアフリー改修の要件を精査し、建築士から増改築等工事証明書を取り寄せ、マイナンバーカードを使ってe-Taxで申請を済ませました。その結果、その年の所得税から約二十五万円の還付を受け、さらに翌年の住民税も数万円安くなりました。加えて、親からの資金援助についても非課税特例を申請していたため、贈与税も一切かかりませんでした。結果として、五百万円の工事費に対し、実質的な負担額は約四百七十万円で済みました。一方、隣のB家は「確定申告は自営業の人がやるものだ」という思い込みと、書類の整理を後回しにしたことで、申告時期を完全に逃してしまいました。親からの援助金についても「黙っていればわからないだろう」と申告しなかったところ、三年後に税務署の調査が入り、贈与税として百万円近い追徴課税を支払うことになりました。当然、リフォーム減税による還付も一円もありません。B家の実質的な負担額は、工事費の五百万円に税金を加え、六百万円近くにまで跳ね上がってしまったのです。工事の内容は全く同じなのに、申告をしたかどうかという一点だけで、両家の間には百三十万円以上の格差が生まれました。これはもはや「節税」というレベルを超え、人生における大きな資産形成の成否を分ける出来事です。A家はこの浮いたお金で新しいエアコンを買い、将来の修繕のために積み立てを始めましたが、B家は突然の納税通知に追われ、家計のやりくりに四苦八苦することになりました。確定申告をしないということは、これほどまでに大きな「見えないコスト」を支払っているのと同じです。国が用意している制度は、知っている人、そして行動する人だけを助けるようにできています。リフォームの魔法で住まいが美しくなったなら、次は確定申告という魔法で家計を美しくする番です。申告をしないことによる損失は、後から取り返そうとしても多大なエネルギーと時間を必要とします。最初の一歩を正しく踏み出すことが、リフォームを心から「成功だった」と言えるための、絶対的な条件なのです。
申告の有無でこれだけ変わるリフォームの実質負担金